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~に刺激[触発]される / 【働き方】【在り方】【音楽】【読書】【散歩】がテーマのブログです

NPO法人尾道空き家再生プロジェクト主催 旅する建築家 渡邉義孝による連続レクチャー『辺境探訪18 記録と記憶 フィールドノート論 その2』に行ってきました!!

11月10日(金)、広島県尾道市で行われた「旅する建築家 渡邉義孝による連続レクチャー『辺境探訪18 記録と記憶 フィールドノート論 その2』」に参加してきました。

会場は尾道ゲストハウスあなごのねどこ「あくびカフェー」です。

講師は11月4日(土)に行われたトークイベント『再生の軌跡〜記憶と風景〜』にも登壇者されていた渡邉義孝さんです。

《渡邉義孝さん》
一級建築士
尾道市立大学非常勤講師
NPO法人尾道空き家再生プロジェクト理事
日本民俗建築学会正会員
風組・渡邉設計室主宰
著者に『風をたべた日々〜アジア横断旅日記』、共著に『セルフビルド/家をつくる自由』がある

連続レクチャー『辺境探訪 18』とありますが、このシリーズは2013年1月25日に第1弾が行われ、今回で18回目となるレクチャーイベントです。
(第1弾のタイトルは『ビルマ北部未開放区への旅』です)

このシリーズは2017年7月28日に行われた『辺境探訪17 アゼルバイジャン Vol.3』に参加しましたので、今回は2回目の参加となります。

「フィールドノート論」というテーマでは2013年に「その1」のレクチャーが行われているようで、今回は「その2」のレクチャーでした。

(渡邉義孝さんのフィールドノートについては2017年11月4日(土)から12月3日(日)までの土日祝日に、通称尾道ガウディハウスで「渡邉義孝 旅のフィールドノート展『記録と記憶』」が開催されています)



「記録と記憶がテーマ」

民俗学者 宮本常一の言葉
「記録されたもののみが記憶される」

共有したい

旅とフィールドノートについて
旅日記
A5ノート
日付を入れる


20代のころは鉄道の保線(ほせん)の仕事をしていた
バラスト(砂利)の入れ替えなど

その後型枠大工の仕事をする
コンクリートを流し込む型枠の加工・組み込み

27才の時に神楽坂の設計事務所を訪ねる
型枠大工の仕事をしていくうちに、自分で設計したほうが面白いのではないかと思うようになった

鈴木喜一
鈴木喜一建築計画工房
1階が画廊、2階が設計事務所になっている
登録有形文化財
画廊と設計事務所の仕事を週の半分ずつで両方やっいた

建築士になるために専門学校に行こうと思っていた時に言われたこと
建築士になりたければ、旅をせよ
建築士になりたければ、文章力をみがけ

人間の生活がそこにある
一日一枚の絵を書くように指示された

「一年のうち三ヶ月は外国へ行け。そのための旅費は支給する」
その際の条件は「毎日絵を描くこと、ノートをつけること」

鈴木喜一「建築は言語化されなければならない」
意味は分からなかった

紀行文は「つまらない」もの
だからよほど文書がうまくないと難しい
つまらない文書をおもしろく読ませる

何人かのグループで外国へ行く
昼は絵を描いたりまちの人と仲良くなる
夜は描いた絵の品評会を行う
物語が詰まっているかをみる

旅の方針は「予定調和を崩していく」
ルートは決めるが現地で崩す

毎日絵を描いていると苦痛にならなくなり、むしろ楽しくなってくる
こういった旅をするうちにノートの方向性が定まった


1994年にフィンランドにあるアルヴァ・アールト(アルヴァル・アールト)のサユナットサロ(セイナッツァロ)の役場に行く

*アルヴァ・アールト(アルヴァル・アールト):フィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的な建築家、都市計画家、デザイナー

メジャーを持ち歩いてみていた
外からは普通に見えるが、光の引き込み方がすごい

20年以上前に行った場所だが、ノートにかいた技術をみると鮮明に思い出せる

記録しておかないといけないな


中国安徽(あんき)省
綺麗な川

火の神をまつるかまど
違和感
メモをする

たぶんもうないと思う
だから記録か必要

モース(大森貝塚の発見者)も記録をすることを勧めていた


興味を持つこと、鋭敏であること
旅にでると多かれ少なかれ鋭敏になる
怖さと鋭敏
バスターミナルをおりた途端にタクシーにとりかこまれる
まわりに近寄る人間に対して鋭敏になる
いつも感じない神経が高ぶる
動物は鋭敏
動物はちょっとした判断ミスが死につながるから、ちょっとしたしぐさにも鋭敏
ノートにかくことはその延長


今 和次郎(こん わじろう)
民俗学研究者
今を記録しようと提唱
調査をして手書きでビジュアル化する
日本建築士会会長も務める
柳田國男の調査に同行していた時期もあるが後に離れる
考現学(こうげんがく)」を提唱
左:平面図 右:展開図
ちゃんとした図面を書くのだなと思った


ル・コルビュジエ
(スイスで生まれ、フランスで主に活躍した建築家)
白いお豆腐のような建築
ノートに色をつけていいのね
水彩
技術的なこと
後期になると新たな表現に達するが、ノートをみると長い間封印していた若い時のことが後期にでてきたのではないかと感じられた


梅棹 忠夫(うめさお ただお)
民族学者(俗ではなく族、エスノロジー)
ノートに音符をかく
音符で鳥の鳴き声をかく
腕輪や洋服など


伊東 忠太(いとう ちゅうた)
建築家
築地本願寺などの作品を残す
動物や化け物などをいれる


宮本 常一(みやもと つねいち)
民俗学者
後年には観光学研究のさきがけとしても活躍
鈴木喜一の先生


鈴木喜一のノート
シンプル 余白が多い
ノートに旅が終わるとタイトルをつける
(ノートにタイトルをつける意味)旅が終わった後に旅を見返して旅の意味を考える
旅を自分の中で消化する
牛の四つの胃袋のように反芻して消化する
ノートにはいろいろなものを貼れ


渡邉義孝さんのひいおじいさん
郷土史
京都で民間人ではじめてパスポート
日露戦争のあと大連へ


第7次台湾旅
日式建築
日本統治時代

フェイスブックに書いたら高校の美術の先生が迎えにきてくれた
真っ先にお互いの絵をかく
持っているものをかく
今 和次郎(こん わじろう)を知っていた
何度も日本にきており、自分(渡邉義孝さん)の講義も尾道大学できいていた
あらゆるものに興味をもつ
日本でペンをかたっぱしから買ってノートに書いていた


博物学」から「考現学(こうげんがく)」に流れて「路上観察学」に
「いま」を観察する目
「いま」を記録する目
「見えないもの」と「見えるもの」
「見えるもの」は「なまもの」と「ぶっけん」にわかれる


鋭敏
(日本人は)肌の色が違うと身構える
観光地でないところに行くと現地の人が近づいてきた
話をしてみると、外国人が来ることはなくて珍しいからみんなで見に来たとのこと
鋭敏さの中から本当の出会いがあった

違和感
デンマークのリーベという町は川が近かった
ノートに描いたが、描いてなかったら忘れていた


【フィールドノートの素材】

50枚のA5ノート
なくなったら現地で買う
背表紙があったほうがいい

見開きに旅が終わったあとに一覧をつくる
人に見せるときに便利

裏表紙に仲良くなるための合言葉
あいさつなどをかいておく
いつ建てられた、素材は何、は必ず書く
指で指して伝える

製図用のペン
(定規を当てて線を引きやすいように先が長くなっている)
蛍光ペン
絵の具

本当にその場でかいているの?とよく質問される
会話はメモ帳に書く
ボイスレコーダーで録音する
後でノートにまとめる
ちょっとしたやりとりはノートに直接書く

修正テープ
ホッチキス
定規
(書くときにはかる、カッターとしてつかう)
飛行機には小さなカッターも持ち込みできないから

巻尺
レーザー距離計

今 和次郎(こん わじろう)のノートを見て黒塗りを取り入れる

ペンにするべき
見栄えがいい
目に飛び込んでくるパワーがある

黒ベタ白抜き
思ったよりも細くなることに注意
地図をかくときによい
一番重要なところでつかう

明朝体っぽく書く
かげをつけてかく

白いものを貼るとまがぬける
色をぬる

背景をぬるとうきたつので効果的

対角線上(左上右下)に絵をおく
強い絵 黒い絵
対角線上でない場合は出来るだけはしにかく

字が綺麗だと言われる
丁寧に書いたとしても五分とか十分の差
将来見返すときに綺麗なほうがいいので十分程度の差であれば時間をかけるようにする

切符は必ず貼る

名刺 チケット ICカード
濡らして剥がす、表紙だけを貼る

旅の中では時間がない
写真を撮って宿でかく
落書き程度でいいからノートにかく
かかないと忘れてしまう

地図をできるだけ描く

10年後に自分の記憶をたどる時に効いてくる
古いものを大切にしない場所ではなくなっていることが多い

今興味がないことも書く

絵に書いて名前を聞く 食べ物

デジカメ
レコーダーで録音

人の顔
楽器、寸法もかく
民族衣装

家系図、年齢もかく
初婚や初産、どっちの親と同居などがわかるようになる

アルメニアで泊まったところはソ連時代の建物だった
宿のおじさんの絵を書いたら自分(渡邉義孝さん)の絵も描くように言われた
恐らく今でも残っていると思う

人の顔はその場でかく
それ以外はコーヒーを飲みながらかく
時間がない時は帰りの飛行機でかくこともある


モノの名前を知らないとだめ
食べ物で例える
料理に入っている葉っぱが苦手だった
ある時おいしく感じるようになった
名前が「パクチー」だということを知る
パクチーを使った料理が次々と目に入るようになった

障子にもいろんな名前がある
名前を知っていると文章を書くときに有利
専門家にしか書けないような文章になる

ブルネッレスキのイタリア フィレンツェにある捨て子養育院
*フィリッポ・ブルネッレスキ:ルネサンス最初の建築家
建物に円形の飾りがついている
メダリオン」という名前であることを知る
名前を知るとかきたくなる
猛烈に知りたくなる


27才の時にヨーロッパの建築を見てまわる
ヨーロッパ建築600選と自分のノートをトレーシングペーパーに移したものを持っていった

長谷川 堯(はせがわ たかし)
日本の建築史家、建築評論家
アール・ヌーヴォー
アーツ・アンド・クラフツ
情緒的な文章を書く

イギリスを訪れたさいに長谷川 堯(はせがわ たかし)の著書である『建築逍遥』を持って行った
『建築逍遥』と同じ旅をした
同じ場所で同じことを感じるようにした
20か所くらいまわった

オールセインツ教会を訪れたさいに賛美歌の歌集に一冊一冊異るブックカバーがされているのをみた
『建築逍遥』にはその記述はなかった
自分の言葉が溢れてきて、ノートにはじめて自分の言葉で書いた
これがきっかけになり長谷川 堯(はせがわ たかし)の本はいいかなと思うようになった
いろいろとふっきれて、本を日本に送った

旅の終わりにふりかえりの地図を書くとよい


フォトブックを作って現地でお世話になった人へのお礼に送る
過去のフィールドノートを持っていく

ノートをかくといろんな出会いがある


旅においてノートをとることは記憶に残すこと
等身大の自分と向き合うこと



【感想】

渡邉義孝さんによるレクチャー『辺境探訪』シリーズは、2017年7月28日に行われた『辺境探訪17 アゼルバイジャン Vol.3』に続いて2回目の参加となりました。

前回のレクチャーの時もでしたが、自分の知らない分野の話なのでついていくことに必死という感じでした。

自分の知らない分野の話は想像したこともないような話ばかりで大変刺激的です。

今回はイベントレポートをブログにまとめるにあたって、人名や用語をいろいろ調べました。

その際にレクチャーで挙げられていた建築の写真を見ることもできました。

いつものことですが、自分の知らなかったことを新しく知ることはとても楽しく刺激的です。

旅も建築も今までの自分にとっては縁遠いものでありましたが、こういった形でお話しを伺えることは楽しいものだと思いました。



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