ナガイケジョーさんの『ベーシストの名盤巡り 低音DO』を読んで感じたことを書いてみた
『ベーシストの名盤巡り 低音DO』
著者はSCOOBIE DOというバンドのベーシストのナガイケジョーさん。
本屋さんで見つけてペラペラめくってみるも購入せずに帰宅して帰ってから気になる、ということを3回くらい繰り返して購入しました。
お正月のお休みに読みました。
2009年より「ベースマガジン」で連載中のコラムを集めて書籍化したものです。
ナガイケさんの私的名盤について自由に書かれたコラムで2ページでひとつのコラムになっており、ひとつのコラムに一枚の名盤について書くという形式になっています。
連載が始まる際には下記のようなやりとりがあったようです。
「ナガイケさんが思う私的名盤について自由に書いてください。できればベースについても一言くらい触れて頂きつつ」(本書あとがきより引用)
実際に読んだところ、いわゆるディスクガイドのように曲目や奏法などを紹介するものではなく、紹介する作品は「お題」のようなイメージでナガイケさんが「お題」に関連して自由に書いているような印象を受けました。
文章のイメージは「軽妙洒脱」といったところでしょうか。
本文の半分以上が私的名盤どころか音楽にすら関係ないように思われる話題のように感じられるものもあるのですが、2ページのコラムを読み終わるころにはしっかり作品に触れられているという不思議な文章でした。
ところどころで引用されている文章から察するに、きっと読書家なんだろうなと思っていましたが、「文学と低音」というコラムでベーシストに読書を勧めていました。
でもたまにこうした名言にぶつかるもんだから、背伸びした読書も悪くない。うっすらとそんな気がしていたことをズバリ言い当てられた時の、その鋭い洞察力に貫かれる痛快さ。読書の歓び。(本書「文学と低音」より引用)
「文学と低音」では下記の著者の書物から引用されていました。
松本健一・林達夫・鈴木大拙・高浜虚子・竹内好・山口瞳・武田泰淳・斯波六郎
やはりいい文章を書くにはいい文章をたくさん読まないといけないのだなと思いました。
本書は「音楽」が目的で読み始めたのでしたが、結果的に「文章」の面で刺激を受ける読書となりました。
たまたま本屋で巡り合った書籍だったのですが、いい読書ができなたと思います。
こういった出会いがあるから読書は楽しいと、改めて感じさせてもらった一冊でした。