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【読書メモ】『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』

【インデックス】

◾️タイトル:『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』

◾️出版社:ダイヤモンド社

◾️著書:木村泰司

◾️読了:2019年8月14日


【印象に残った箇所】

・日本人は、どうしても美術を見るときに「感性」という言葉を口にしがちですが、美術を知ることは、その国の歴史や文化、価値観を学ぶことでもあります。
(P3 はじめに より)

・「美術は見るものではなく読むもの」
(P4 はじめに より)


・上記の理由からか、本書では作品や作者の解説だけでなく、時代背景や歴史的な出来事についても大きくスペースをとり解説されています。


・美術史的な文脈を踏まえていないと、何が革新的なことが行われていれ表現であっても反応することができないことに気付きました。

・以下はそのことを具体的に感じた部分となります。


・例えば、17世紀に確立し「ジャンルのヒエラルキー(格付)」

・最上位には聖書や神話を主題にした歴史画があり、その下に順に人物画(肖像画)、風俗画、そして一番下位のジャンルとして静物画がありました。
(P120より)

・歴史画の格が高い理由

・画家自身が主題を理解しないといけない

・複数の人物を配し、相応しいポーズや感情を表現し、適切な背景を描かなければならない

・古代建築などの考古学的な知識も必要

・つまり、画家も鑑賞者も教養を持ち合わせないと理解できず、それゆえ格も高い


・例えば、クールベの「石割人夫」と「オルナンの埋葬」

・大画面に現実的な人々や日常を描いていますが、そもそも歴史画のみに許されていた大画面に、伝統的に絵画の主題として「美しくない」とされ、タブーとされた庶民たちを「高貴」な歴史画のサイズで描くこと自体がスキャンダラスな表現ということになります。

・そしてこのクールベが築いた近代絵画への礎は、伝統的な「見たことのない世界を描く」歴史画的主題から、「自分が見たままの世界を描く」という"主題の近代化"でした。
(P180より)


・例えば、「近代絵画の父」マネ

・輪郭がはっきりしている大胆な筆使いや、平面的で単調な色面や激しい色彩の使い方。

・これはラファエロ以降の絵画の伝統だった三次元性からの逸脱で、当時の人々には「奇妙」に映りました。

・この絵画の二次元性の強調は、近代絵画の定義である「何を描くのか」ではなく「どう描くのか」を探求する新しい造形的アプローチでした。
(P181より)

・「水浴(後に改題:草上の昼食)」は、視線を観客のほうに向けた慎みのなさや、理想化されていない生々しい裸体はあまりにも急進的過ぎて、観客から激しい怒りを買ってしまうほどの作品だった。


【感想】

・馴染みの薄い分野でしたが読みやすく書かれていてすんなりと読むことがでしました

・作品がうまれた時代の背景や歴史的な出来事について書かれている箇所が多いのですが、技法などの絵そのものの解説だけに比べると、どのような背景があり、誰がどんな目的で何に向けて作品が生み出されたのかなどを押さえることで時代ごとの変遷や地域によって生じる差がわかり面白かったです。

・余談ですが、本書を読むことで歴史にも興味がわいてきました。